『この手を離さないで』登場人物
攻め→一条晴斗(アルファ)
名門校から一般校へ編入して来た高校生。
受け→北原雅(オメガ)
生徒会長を務めている優等生で周りからの信頼が厚いが、オメガであることを隠しており、何故かアルファである晴斗に冷たくあたる。
『この手を離さないで』あらすじ
アルファである晴斗は名門校で問題を起こし、一般校へと編入する。そこで出会った生徒会長の雅はオメガであることを周りに隠しており、何故か晴斗にだけ冷たい態度をとる。
少しずつ距離を縮めていくアルファの晴斗とオメガの雅
ある事情で、名門校から一般高校に編入して来たアルファの晴斗。
アルファというだけで優遇され、すぐに人気者になる晴斗でしたが、一人だけ彼に対して冷たく接する生徒がいました。誰からも信頼の厚い生徒会長の雅です。
誰にでも人の良いはずの彼が、自分にだけ冷たくあたる理由が分からず、晴斗は雅のことがどんどん気になっていきました。雅の抱える心の闇とはなんなのでしょう?
…オメガバース作品ということで既にお気づきの方が多いと思いますが、雅はオメガだったんですね。
バース性で優遇されている晴斗に、雅は激しい嫉妬の感情を抱いているようでした…!
あんな病んだ瞳で睨まれたら、そりゃあ何事か気になりますよね。
晴斗の前で大量のヒート抑制剤を吐き出してしまった雅は、次第に体調が悪化して学校を欠席する日々が続きます。
素行が悪い不良キャラ?と見せかけておいて、面倒見の良い晴斗は雅のボロアパートに訪れて、ヒートでぶっ倒れていた彼を介抱するんです。
そこで話を聞けば聞くほど、雅がとにかく辛辣な環境で過ごして来たことに、胸が苦しくなりました…!
ボロアパートに住んでいた理由、どうして親と一緒に暮らしていないのか、どうしてオメガであることを周りに隠していたのか…。
「恵まれた環境にあぐらかいて、そのくせ不幸ヅラしやがって…!」
憎悪の瞳で睨みつつ、雅が晴斗に向けたこのセリフは、心から出たものに違いありません…。
オメガである劣等感を抱いたまま成長していった雅は、晴斗ではなくて、アルファという存在に歪んだ感情を向けることで何とか自分を保っていたんでしょう…。うう、悲しい…。
バース性を意識して距離をとっていた晴斗と雅。そんな二人が少しずつお互いを分かり合い、冷え切った心が温まっていくラブストーリーに終始目が離せません♪
雅の辛い過去や、晴斗の抱えている葛藤に「二人に幸せになってほしい!」と応援したくなります。
読み終えた頃には、読者の方が幸せを頂いているかもしれません…(笑
個人的評価
切なさ度 ★★★
ストーリー度 ★★★
心の浄化度 ★★★
切ないラブストーリーながらも、最後には心が温まるような作品を読みたい方におすすめです♪