登場人物
メット(シントー・プラチャヤー):20年前に死亡したものの、成仏できずに自らの墓の周辺をさまよう幽霊。
タン(オーム・パワット):幽霊を見ることができる大学生。メットが成仏できないのは自分の死の真相を知らないせいだと考え、メットのために彼の死の真相を突き止めようとする。
EP7までのあらすじ
22才の誕生日に心臓麻痺で死んでしまったメット。成仏できずにいたところ、幽霊と話すことができるタンという少年と出会う。やがて時は経ち、メットは大学生となったタンと一緒に住むことに。二人はメットの本当の死因を探るなかで徐々に絆を深めていき、お互いの思いを確認し合う。そしてついにメットが生前に住んでいた親戚の家へとたどり着き、メットの死の真相が明らかになる。
ついに迎えた最終回
いよいよメットとタンの恋物語の幕が閉じようとしています。
最終回となるEP8では、20年前のメットの誕生日から物語がはじまります。朝ごはんを食べるメットに話しかけているのは、プライの家の家政婦ノン。なるほど、ノンもまた、かつてのメットをよく見知った人物だったわけですね。
食後、ノンはメットに薬を飲むようにすすめます。メットは心臓の持病を抱えていますから、とくに不自然な行動ではありません。しかし、現代のプライの祖父、そしてノンを見ると、怪しさ満点。一服盛っているのではないか、思わずそんなことを考えてしまいます。実際、この日にメットは死んでしまうわけですから。
さて、物語は再び現代へと戻ります。
かつての自分の部屋を訪れ、記憶を取り戻したメット。そして自分が倒れたときに、叔父、すなわちプライの祖父ポッブがその場にいたことをタンに語りました。
とそこへ、ポッブとナンが部屋に入ってきて、タンたちに詰め寄ります。
ここで何をしているんだ!
タンはひるむことなく、ポッブにメットを知っているかと尋ねました。最初はとぼけていたポッブも、メットが写った家族写真を見せられ、彼が兄の息子だということを打ち明けます。
タンは怒りに狂います。なぜ墓を放置したのか、なぜ部屋を閉鎖したのか、なぜ彼を見捨てたのか。
愛するメットにひどい仕打ちをしたポッブのことを許せなかったのでしょう。
それに対してポッブは、彼を忘れるように言ったのは私であると告白。彼を守れなかったことが悲しい、だから墓参りもせず、忘れることにした。そう言いのけました。
このセリフは人としてどうなんでしょうか。本当に我が子のように大切に思っていたのなら、ちゃんと供養するのが当たり前ですよね。それを思い出したくないから放置したとか、あまりにもひどすぎます。
タンも当然、怒ります。
忘れたかったのは、彼を見殺しにしたのを思い出したくなかったからじゃないか。彼と話せるのは僕だけ。事実を突き止めるまでは帰らない
当初、タンの話を信じなかったポッブは家から出て行けと激昂します。ところが、メットがイスをひっくり返してアピールしたことで、態度を一変。あのときにあったことを、正直に語り始めました。
20年前のメットの誕生日、ポッブはサプライズでチョコケーキを用意。メットを驚かせようとしました。そしていよいよ準備が整い、いざ呼びに行ったところ、目に入ったのは倒れたメットの姿でした。気が動転し、何もできず、動くこともできなかったポッブ。もう少し早く呼びに行っていたら助かったかもしれない。自分が見殺しにしたようなもの。本当にすまなかった。
ポッブは泣きながら、メットに謝罪しました。ところが、ここでボロを出します。
まさか薬を飲み忘れて死ぬなんて…
メットは朝食後にちゃんと薬を飲んでいました。その薬を用意したノムは、旦那様の命令で従っただけと言いましたが、あの日はそういえば新しい薬があったこと、しかし何の薬かはわからないことをタンに打ち明けました。
その薬が症状を悪化させた可能性はある。いったい誰が何のためにこんなことをしたのか。メットが死ねば、その財産は誰が受け継ぐのか
タンはポッブを詰問します。
メットの薬を隠し、症状を悪化させる薬を用意し、彼を見殺しにした。彼が成仏できないのは誰かに殺されたからだ。そして殺したのは、おじいさん、あなただ!
まるで逆転裁判の法廷パートを思わせるような展開に目が離せません。ポップの発言の矛盾した点をつき、「意義ありっ!!」と問い詰めていく。…タン、かっこよすぎます。
そんなタンの剣幕に押され、ついにポッブは自分のしたことを白状しました。
なんと、メットは心臓麻痺ではなく、叔父に殺害されていたのでした。
ポッブは当時、投資に失敗して2500万バーツもの借金を背負っていたこと、それを返すためにメットを殺したことを告白します。
なんて身勝手な人間でしょうか。人を殺しておいて自分は孫娘と幸せな生活を送っている。許されることではありません。私が孫だったら、こんな祖父は顔も見たくないですね。
最後の別れの時
こうして、メットの死の真相が明らかになりました。それは、タンとメットのお別れの時がそこまで迫っていることを示してもいました。
二人は残された時間を惜しむかのように、思い出を育んでいきます。
なお、このときに部屋で一緒に踊るシーンが描かれたのですが、なんとAKB48の恋するフォーチュンクッキーの振り付けが出てきました笑。
以前バンコクに行ったときに、タイ語バージョンの同曲が街中で流れていた記憶があります。たしか、バンコクでも姉妹グループが結成されたのでしたよね。タイでも大人気。すごいです。
さて、楽しい時間はあっという間に過ぎ去ります。ついに、メットの供養の日が決まりました。
残り少ないメットとの時間。タンは行きたいところがあるといい、母であり、メットの元彼女であるクワンの住む家へと彼を連れていきます。
クワンは、二人の関係をそっと察していました。自分の息子が彼氏を夕食に連れてくるなんて映画のワンシーンみたいとおちゃらけますが、クワンの懐の深さに胸が温かくなります。
その夜、タンはメットに、子供の頃から会うのが楽しみで墓参りの日が待ち遠しかったと告げます。思い出話に花を咲かせる二人。
初めて会ったときからメットさんは特別だった。愛してるよ。たとえメットさんが何者であろうとも、愛してる
…メットさんは僕をどう思う?
僕もタンを愛してるよ…
静かに見つめ合う二人。もはや私の心臓もドッキドキです。
もっと早く言えばよかったね
タンは切なそうな顔でメットを見つめます。
気にしないで。残りの時間だけで、僕には十分だ。消えてしまう前に、誰かを愛し、愛された
はぁ、本当に切なすぎるんですが…。もはやハンカチなくして画面を見ることができません。
奇跡があるなら、愛する人を一度だけ抱きしめさせて…
そうメットは願いをかけます。すると、その願いが天に通じ、二人は熱い抱擁を交わすことができたのでした。
二人は涙を流しながら、触れ合えることを喜びます。
そして何度も、何度も触れ合うくちびる。「夕べはお楽しみでしたね」と某RPGのセリフが頭に思い浮かぶほどの熱い夜でした。
ついに、メットの供養の日がやってきました。メットはプリンス、キャオ、プライ、クワンと、一人ひとりに最後の別れの挨拶をしていきます。同じ無縁仏仲間のジェンとナゴンにも別れを告げました。
そして、タン。
しかしタンは、その場から逃げてしまいます。
メットさんを行かせたくない。僕はどうしたらいい?
目に涙を浮かべながら、メットに問うタン。しかしメットは、こう諭します。
運命には抗えない…君と出会えたことが、僕にとって最高の奇跡だった。ひとつだけ約束してほしい。僕が消えても、幸せになって
はい、私号泣。もう、こんなんずるいですわ。泣きますよ、これは。
今回は人間と幽霊の物語でしたが、人間も必ず死ぬ運命にありますし、明日どうなるのか、誰にもわかりません。だからこそ、いまというこの時を懸命に生きること、いまというこの時を大事にして大切な人を愛すること。それが、いま私たちにできる唯一のことなんだと、このドラマは教えてくれた気がします。
追伸
個人的にタイが好きなので、タイ語を覚えたいと思って見始めたタイBLでしたが、結局ピー(年上への敬称)、サワッディーカーっ(挨拶)、コップンナーっ(ありがとう)、ポン(僕)くらいしか覚えられませんでした笑。タイ語難しい笑。
次回からはタイBLドラマ『Paint with Love(ペイントウィズラブ)』の感想をお届けします!今回幽霊役として出演していたシントーが主人公カップルの1人を演じます。お楽しみに!!
