登場人物
受け→大和辰之（やまとたつゆき）
ヤクザ組織・大和会の4代目。男性マッサージ師への初恋が破れ、意気消沈中。
攻め→小鹿望（こがのぞみ）
小さい頃、父親から性的虐待を受ける。そんな中で辰之に出逢い、心が救われた。ずっと辰之を思い続けている。ゲイでリバ。
あらすじ
大和会4代目の辰之は、初の失恋で自暴自棄に陥っていた。そんな辰之を心配した若頭の浅生田（あそだ）は彼を福岡の組織へと遠征させる。そこで辰之は謎の美青年・小鹿望と出会い、地元ヤクザを巻き込んだ抗争劇の中、自然に愛を育んでいく。
筋肉美が本当に美しい･･･
こちらは『みのりの手』のスピンオフ作品。『みのりの手』も良い作品でしたが、こちらの方が感動度・キュン度・エロ度ともに完成度が高いように思えます。
主人公の辰之は、ヤクザ組織の4代目です。ある日、若頭の浅生田に紹介され連れて行かれたマッサージ店で出会った男性マッサージ師・みのりに恋をします。
しかし、彼は突然失踪･･･愕然とする辰之の恋心は行き場をなくしてしまうのです。そんな傷心の状態から、物語は始まります。
舞台は福岡。みのり先生を忘れられないまま風俗でも楽しめず、泥酔した挙げ句に、結局見知らぬ公園に１人座り込む辰之。
そこへやってきたのは見覚えのない美しい青年。ベロベロに酔っ払っていた辰之は、そのままお持ち帰りをされ、そこで欲望いっぱいの一夜を過ごします。
そこから始まる人間模様には、非常に重たい表現が出てきます。
親族間の凌辱・抗争間の凌辱。そして暴力あり・発砲あり。実際に経験してしまったら、一生忘れられない傷になるような抗争劇です。
ヤクザ抗争モノはこのような類のハードな設定が多いので、そこは覚悟して挑まれるべきかと思います。
ただ、その残虐性をスマートに描く技術と、エロ描写の丁寧で繊細なタッチは本当にすごいです。
もう、腹直筋や肩のラインなどの男性美が文句ナシにお見事！読み終わっても嫌な感覚は残らず、感動的で素敵なBLを読ませていただいたという余韻しか残りません。
まず、一見乱暴で品のない辰之。三白眼で目がキツくいかにもヤンキー的な風防なのですが、芯の部分はしっかりと男前なのです。
そして、そんな辰之のことが大好きな望。２人は望が幼い最中、父から性的虐待を受けていた頃に出会います。そのとき、心の支えになっていたのが辰之というわけです。
ただ、辰之は望の事をすっかり忘れちゃっているのですよね（･･･残念っ！）。
けど、そんな２人が分かり合ってそれが愛情となっていくプロセスは本当に素敵。心はしっかりと繋がっていて、なおかつ互いを思いやる場面は読者の涙を誘います。
そして辰之は、エッチな場面となると突然エロさが開花し、別人のように魅惑的になります。
普段のガサツさが嘘のよう！見ているコチラはそれだけでイチコロなんです。
ともあれ、好きという気持ちが入っている絡みは、本当に眼福！読者も心から満たされます。
ベリ子先生の技術や発想力で、臨場感と感動・そして笑いも含まれた、素晴らしい１冊です。
冊子の帯には電子書籍のBL部門でベストセラーに選ばれたことが記されておりますが、深く納得。
機会があれば、ぜひ手にとって頂きたい作品です。
個人的評価
筋肉美度 ★★★
ヤンキー受け度 ★★★
臨場感度 ★★★
美しい筋肉美を堪能したい方、強面ヤクザ受け（笑）が見たい方におすすめです♪
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